2010/03/22

対談・今度は見る方

偶然電車の吊り広告で見つけた講演、渋谷コロキウムに出かける。


現副都知事であり、日本国の研究 道路の権力などの著書で、道路公団を初めこの国に巣くう独立行政法人の実態を暴いた作家の猪瀬直樹さんと、東京都市大学学長の中村英夫さんの対談で、東京都市大学(旧武蔵工業大学)が主催している。


テーマは、
"首都圏の今後の交通"と"東京のインフラストラクチャー -その発展と課題"。
会場のセルリアンタワーのB1ホールは、300人くらい収容の大きなホール。
客はほとんどが背広組で40台くらいが多かったかな?
途中大皿のサンドイッチにコーヒーのサーブもあり、無料イベントとしては破格の待遇^^


(長いよ)

猪瀬さんの講演内容は、
・築地市場の豊洲移転・首都高大橋ジャンクションなど最近の変化
・高速道路民営化(無料化には反対、2兆円かかるので受益者負担が原則)
・海外への売り込み(部品技術でなくシステムで売る)
・空港の整備(羽田、成田、横田!の3空港一体運用が望ましいが米軍保有空域の問題が難しい)
・港湾の整備(東京、川崎、横浜の一体運用)
・地下鉄民営化(東京メトロと都営地下鉄の一元化) など。

これを推進するべきなんだけど、国や政治家(民主党)、マスコミが頭が悪いから出来ない~など、当事者としてはやや無力感漂う感じで、政治家とジャーナリストは求められる資質が違うなと感じました。


中村さんは、
江戸~明治の近代化(鉄道)~関東大震災復興(区画整理)~昭和初期(河川、橋)~空襲と戦後復興(道路、公園、地下鉄)~モータリゼーション~東京オリンピック(高速道路、都心環状線)など、東京開発の歴史を振り返りながら、社会の構造変化に合わせ、都市の構造も変化するべきという話。
具体的には、外堀通りの地下化によるプロムナード化と、高速地下化による日本橋再生を挙げていたが、その負担をどうするのかという視点はなく、純粋な学術研究といった趣き(猪瀬さんも突っ込んでいたが)


全体としては、面白い話もありましたが、ちょっと調べれば知りうる話が多かったかな?

情報を持っているというだけで優位に立てた時代(調べ物は図書館など)と違い、あるトピックについて、正確さや客観性はともかく一般の人が専門家並の知識を持ちうるこの時代、何を対談で話すかは難しいなと感じた。wikipedeiaや新聞各社のニュース配信、Google検索など。新しい内容を話してもネット配信などで一瞬で共有される。


逆の視点で眺めてみて、40分の尺きっかりに終わらせることや、原稿らしきものに目を通さずに喋れることなど、さすが大勢の前で話すことに慣れてるなと思った。



質問タイムは、誰も質問しようとしないので、
「地方からの車両が都心部に流入することにより、渋滞を引き起こし、都市の効率性を低下させている現状の中、圏央道、外環、首都高環状線の三環状道路の整備について、都として副都知事としてどう考えているか」を聞いてみた。

自分の対談の時も、場内の友人から質問があり、その真剣さと積極性が尊敬でき、嬉しかったので、逆の立場の時はぜひ発言しようと思っていた。

・民主党は地方重視で、都市整備の予算を計上しない姿勢
・外環・圏央道は費用:効率を考えれば、絶対やるべき。渋滞解消でco2も下がる。
・12000億円かかる費用(外環)を国、都、道路会社の3社でどう負担するか、国幹会議で話し合っているが、中々進まない。外環道は数十年かかるかも。
との回答で、是非は別として真摯に話してくれました。


なんとなく、リニア中央新幹線(開業予定2025年はさらに遅れる?)の話と通ずる、日本のスピード感の無さは気になるな。
平地で障害物もなく通しやすいとはいえ、上海ではリニアは都市部と空港を結ぶ手段として既に開業されているし、上海-北京を5時間で結ぶ高速鉄道(現状約10時間を半分に!)も2006年着工-2010年開業。さらに2025年までにイラン・トルコを経由しドイツまで到達する高速鉄道のシルクロードなんて計画も上がっている!

他にも聞きたいことは
・東京都に残された最後のゴミ処理場(中央防波堤埋立処分場)が埋まった後どうするか?
経済特区活用による、エンタメエリアの創生(時代遅れのカジノじゃなくクラブでね!)
・地下鉄24時間運行の可能性(景気低迷の今は需要がないかな?)
などあったが、会場からポロポロ質問も出始めたので譲った。


渋谷の街へ出て、なんか不思議な面白さがあったなぁと思った。
人の話を聞くこと、新しい知識を得ること。

今後も興味あるものには、積極的に参加しようと思う。