中日ドラゴンズ3年ぶり日本一の夢は消え去り、千葉ロッテの日本一が決まった。
攻撃、先発、リリーフ陣、捕手のリード、チームワーク、監督の采配・用兵、 、、すべての面において、ロッテが上回った、完全なる敗北。
怒りや悔しさとも違う、今までにない、感情がわき上がる。
中日がこのシリーズで見せられたものは、6戦7戦で見せた土壇場の粘り以外では何なんだろう?
このままでは、絶対に勝てない、そんな思いを、検証してみようと思う。
-攻撃
スイングの強さ。
ロッテは強くコンパクトにスイングをすること、ボール球を振らないことが、1番から9番まで全員徹底されていた、集中力はお見事だったし、抑えている時も常に重圧を感じた。
中日の打線とは大人と子供。他チームではスタメンどころか1軍にも入れないような面子が下位打線に並ぶ。相手投手陣も相当楽だったに違いない。
-先発
中日で通用したのはチェンだけだった。
12球団一なんて前評判だったが、実は本当の一線級はいない。なかなかいい投手が多いだけなのは、シーズンで二桁勝ったのが2人だけというところにも表われている。
-リリーフ
浅尾、高橋の強力セットアッパー陣頼り。シーズンで働いていない河原や先発だったネルソン以外に大事な局面で任せられる投手がいない。先発と同様、粒ぞろいで総合的には高レベルだが。
ロッテの中継ぎは素晴らしかった。伊藤、内、藪田の3人は球も速いし切れもある、ベテラン小野、小林宏を加えたブルペンは、中日以上と感じた。
-捕手のリード
谷繁のリードはまったく冴えなかった。7戦中ずっと工夫なく打たれ続けた。
ポイントは内角高めを使ってないこと。内角低め速球か、外角にストレート、変化球しかないので、的を絞って思い切りのいいスイングができる。 ロッテに気持ちよーくやらせていた。
シーズン中、狭い球場で巨人打線を抑える時、どうやって抑えていたか思い出して欲しい。
必ず胸元に直球(ボール)を投げ込んで、身体を起こしてから勝負していたはず。
ボールが使えるカウントでも常に余裕のないリードで、じりじりと消耗していった。
-チームワーク
ロッテのスローガン「和の力」は素晴らしかった。誰もが繋ぐ意識で、一丸となって投手を攻め立てた。ピンチの時もよくマウンドに集まり、声をかける。
中日はピンチの時も内野手が声をかけるシーンはほとんどなく、投手は一人で戦わざるえなかった。役目的には荒木や森野の役目なのだが、、、
-采配・用兵
西村監督は風貌に似合わず、見事な勝負師っぷりだった。打つ手も早い。
落合監督、、、シーズン中やチーム作りには全幅の信頼を寄せているのだが、短期決戦の戦いについては、言いたいことがある。
単純に言うと、鈍重ということ。シーズン中では長い戦いを見据えてどっしり構え、それが功を奏するのだが、シリーズでは打つ手が遅いのが致命傷に。
投手交代は同点まで動かない、守備固めがワンテンポ遅い、好投手を何とか崩してやろうという工夫もない、ただただ打つのを待っている野球。
6戦目で、ラッキーボーイ的存在で左にも強い大島を外して、小池を起用など、流れを自ら手放しては、野球が重くなるのは当たり前だ。 6番谷繁、7番小池、8番英智、9番Pは、何の罰ゲームかと思った。
-守備
どちらもミスの多いシリーズで、お世辞にもレベルが高いとは言えない。
随所に好プレイはあるものの、軽いプレイが致命傷となった。
6戦目の浅尾から同点タイムリーの前、右中間への打球を小池が緩慢な追い方で2塁打にしてしまう。
7戦目の決勝点の前、レフト和田からの一杯一杯の返球を、中継の井端がバウンド合わせられず逸らす(和田ではなく実際は井端のエラーだ)、など。
守りの中日としては、守備がほころんでは勝てる術はなかった。
-小技
これが頂点の戦いか?と思うような、低レベル。
6戦目は両軍合わせて6度の送りバント失敗、うち2つはフライゲッツー。
中日の1試合に牽制死2回など。
-マインド
最後に、一番難しい問題としてマインドを挙げておこう。
中日という球団の持つマインド。"燃えよドラゴンズ"なんだよ、結局は。
ウララ~ウララ~ ウラウラで、の高校野球の世界。
とにかく燃えている。 必死。切羽詰まっている。もっといくと悲壮感が漂う。
ロッテの伸び伸びとした野球。
08年西武の日本シリーズ最終戦、円陣で平尾が言った「いつもどうりチャラチャラ行こうぜ!」、NikeのJust Do it!広告
そんな野球と対極にあるのだ。
星野の時も、伝説の10.8決戦も、生きるか死ぬか、そんな雰囲気。
悪いとは言わない。それこそが中日だから。
常勝で大人な西武に飽きて中日が好きになったのは、その熱さに魅せられたから。
ただ、大舞台になると力が入り過ぎて普段のプレイができなくなることも多い。
中日が出たシリーズでレベルが高いのが少ないのは、これが原因だ。
そして、もう一つ。
ローカルということ。中日は全国区というよりは、ローカルの人気球団。
名古屋ではちやほやされ、選手は甘やかされる。
住めばわかるが、名古屋は何でも揃っていて、外部からのイメージ以上に居心地のいい街だ。
おらが街のヒーローとして、外からの刺激に相対することなく満足してしまう。
他地方から集まってきたフレッシュな選手も、長年のうちに中日色に染まっていくのだ。
ナゴヤから離れて、力を発揮できなくなるのは、そんな理由。
優勝した今年でさえアウェーでは負越しだし、例年も軒並みアウェーでは弱い。
WBCや日韓戦など、未知の相手との一発勝負では、力を発揮できない選手が多い。
イチローがオフになると中日戦を焼きそば食いながら観戦するほど中日ファンなのは有名だが、もし中日に入団していたら、あそこまでの選手にはなっていなかっただろう。
とにかく、中日は負けたんだ。練習量が12球団一でも負けた。
必要なのは、何を意識して練習するか。
ロッテ打者の振りや、チームの勢い、姿勢を見て、何かを感じて欲しい。
また、これは中日だけの問題じゃなく、セリーグ全体への警鐘でもある。
交流戦でパが圧倒的に強いのは、なぜか?
東京ドーム、神宮、横浜と、半分のゲームを狭い球場で行い、上位と下位の差がはっきりしているセ。ちょっと調子が悪くても、横浜、ヤクルト、広島相手ではごまかせてしまう。
すぐにスタンドインするので、思い切り振ることをしない。そしてスイングの弱い打者に投げている投手は、レベルアップしない。絶対的なエースがパに多いのは偶然ではない。
外野手の守備力や肩も、差がある。
そんなこんなで、たっぷりと楽しませてくれた2010年のプロ野球。
こんな11月まで1球の行方に一喜一憂できるなんて、なんて幸せなんだ。
落合監督、中日ドラゴンズの選手達、本当にありがとう!!!!!
数々のドラマには涙腺が緩みっぱなしだったよ!!
0時近くまでやった史上最長の第6戦。
連夜の延長の最終戦。9回裏和田の3ベース!
内容うんぬんではなく、間違いなく熱戦だった。
絶対絶命9回裏、和田執念の3ベース
中日ドラゴンズ2010サヨナラゲーム集
また来年、もっと強くなって、ここに戻ろう。(山王戦に負けた湘北の感じで)
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